大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

浦和地方裁判所 昭和54年(わ)258号 判決

本籍

埼玉県入間市大字新久六六六番地の五

住居

右同

製茶卸業

森田富衛

大正一一年一〇月一〇日生

右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は検察官熊谷善捷出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人を懲役一〇月及び罰金一、二〇〇万円に処する。

右罰金を完納できないときは金四万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判の確定した日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、埼玉県入間市大字新久六六六番地の五に居住し、同所で製茶卸業「森田園」を営む森田保太郎の長男であり、同人にかわって右「森田園」の業務全般を統括しているものであるが、右森田保太郎の所得税を免れようと企て、売上金の一部を除外して架空名義で預金する等の行為により、所得の一部を秘匿したうえ、

第一  昭和五〇年中における森田保太郎の総所得金額が三、四一六万九、〇四七円で、これに対する所得税額が一、四九九万四、四〇〇円であるのにかかわらず、昭和五一年三月一一日、同県所沢市大字所沢五〇〇番地所在の所沢税務署において、同税務署長に対し、総所得金額が二六七万四、八六一円であり、これに対する所得税額が二五万二、六〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、昭和五〇年分の正規の所得税額一、四九九万四、四〇〇円との差額一、四七四万一、八〇〇円を免れ、

第二  昭和五一年中における森田保太郎の総所得金額が三、四九七万一、三八六円で、これに対する所得税額が一、五四五万七、六〇〇円であるのにかかわらず、昭和五二年三月五日、前記所沢税務署において、同税務署長に対し、総所得金額が三五三万五、一三四円であり、これに対する所得税額が三九万四、〇〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、昭和五一年分の正規の所得税額一、五四五万七、六〇〇円との差額一、五〇六万三、六〇〇円を免れ、

第三  昭和五二年中における森田保太郎の総所得金額が五、一九三万七、六五八円で、これに対する所得税額が二、六一七万七、八〇〇円であるのにかかわらず、昭和五三年二月二八日、前記所沢税務署において、同税務署長に対し、総所得金額が四〇四万四、九一六円であり、これに対する所得税が四八万〇、六〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、昭和五二年分の正規の所得税額二、六一七万七、八〇〇円との差額二、五六九万七、二〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全部の事実につき

一、被告人の当公判廷における供述

一、被告人の検察官に対する供述調書二通

一、大蔵事務官の被告人に対する質問てん末書一四通

一、被告人作成の答申書四通

一、大蔵事務官作成の告発書

一、大蔵事務官作成の調査書九通

一、大蔵事務官作成の証明書三通

一、河村和子、森田芳男、森田春雄、森田勝男、森田イ子の検察官に対する各供述調書

一、左記の者各作成の答申書

森田国雄、森田勝男、森田春雄、関谷美喜男、杉田平次朗、間野仁平、沼田伊之作、今井重蔵、高野敬二(二通)、滝沢澄江、山崎智也、山中脩吉、浅見忠治(二通)、上原恵治、広沢鉄蔵、塩沢薫、指田平雄(二通)、関口久子、森田森蔵(二通)、町田林造、上原卓司、辻金一郎、西野勝美(二通)、豊泉長祐(二枚綴りのもの)、宮野清、北村一則、時田貞良、宮崎章作、宿谷惣作、一言俊郎、掛川フク、三ツ木良舗、栗原明(二通)、小見山晴夫、栗山春雄、野崎春夫、加藤利治(二通)、関谷勘俊、上原幹男、上原絃一、石川治雄、間野栄一、貫井直光、杉田忠次郎、西野信吉、金子育朗、水村恒吉、鈴木正己、関谷哲男、斉藤進、中嶋政吉、石田馨、栗山春雄、斉藤大作、引間真二郎

一、森田保太郎作成の上申書

一、左記の者各作成の供述書

森田敏夫、森田芳男、大久保勝彦、吉野忠造、中村武次、吉野金太郎、八木栄吉、今岡佐雄

一、大蔵事務官の左記の者に対する各質問てん末書

森田和子(昭和五三年五月一〇日付、同月一一日付、同月一二日付、同月一三日付)、森田芳男、森田春雄、森田国雄(二通)、森田勝男、関谷勘俊、上原幹男、塚本恵祥、関口栄、関口雄治郎、森田イ子

判示第一、第二の事実につき

一、一言俊郎作成の答申書(五枚綴りのもの)

一、河内正二作成の答申書

判示第一の事実につき

一、一石工作成の答申書

一、清水龍助作成の答申書

一、黒米松之助作成の供述書

一、金子広吉作成の供述書

一、坂本幸江作成の供述書

一、大蔵事務官の森田和子に対する昭和五三年五月三一日付質問てん末書

一、大蔵事務官の関谷美喜男、鈴木正己に対する各質問てん末書

判示第二、第三の事実につき

一、豊泉長祐作成の答申書

判示第三の事実につき

一、比留間敏三作成の答申書

一、佐野壮次郎作成の答申書

一、大石研治作成の答申書

一、森田保作成の供述書

(法令の適用)

被告人の判示各所為はいずれも所得税法二三八条一項、二項、二四四条一項に該当するので、情状によりいずれも懲役刑と罰金刑を併科することとし、以上は刑法四五条前段の併合罪なので、懲役刑については同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第三の罪の刑に法定の加重をし、罰金刑については同法四八条二項により各罪所定の罰金額を合算し、その刑期及び金額の範囲内で被告人を懲役一〇月及び罰金一、二〇〇万円に処し、右の罰金を完納することができないときは、同法一八条により金四万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判の確定した日から二年間右懲役刑の執行を猶予することとする。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 北野俊光)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例